第9回

1998年4 月2日(木曜日)はガーナ

目次

国のあらましと地図/自然/歴史
産業・経済/チョコレートの話
ガーナの<この人>アナン国連事務総長
今月の動き
1ページの旅『爆走! SAHARA』

ガーナの味
3つの表現だけのアカン語レッスン
いろいろ情報

独立−1957年
国名−ガーナ共和国
面積−24万平方キロメートル

人口−1745万人(1995)
首都−アクラ(人口95万人−88)

住民−アカン(アシャンティ、ファンティなど)、モレ・ダグバニ、ガ・アダンベ、エウェ
言語−英語(公用語)、アカン語、トウィ語、ファンティ語、ガ語、エウェ語、ダグバニ語

宗教−キリスト教、伝統宗教

自然

北から南へ流れ、ギニア湾に注ぐボルタ川に造ったダムにより、ボルタ湖ができました。
北部は高原でサバンナ地帯。南西部は雨季が2回ある熱帯雨林です。

歴史

13世紀から16世紀にかけ、西からきて先住民を征服し定住したのが、現在の主要な民族といわれています。

1482年からポルトガル人が沿岸に城塞を築き、貿易を行ないました。
金の産地だったので、黄金海岸と呼ばれます。

17世紀前半、オランダがポルトガルから城塞を奪います。
後半に創設されたアシャンティ王国は、19世紀に4回の戦争でイギリスに敗れ、それまで保護領としていた地域とともに、1874年に事実上、植民地になりました。1918年、イギリス領黄金海岸が確立。

1957年、東にあったイギリスの信託統治領トーゴランドと合併して、イギリスの植民地としては初めて独立しました。
かつて西アフリカに栄えた古代ガーナ王国の地域よりアカン人は来たという言い伝えから、国名をとりました。
独立運動の指導者エンクルマが初代首相になりました。
60年、共和制となり、大統領に就任します。

エンクルマは「アフリカ合衆国」の創設を目指しましたが、経済の悪化から66年軍のクーデターが起こって失脚。
81年のクーデター以降、軍政がしかれていました。
92年、複数政党制を定めた新憲法が承認されます。

産業・経済

カカオ豆の生産はコートジボワールに次ぎ、世界2位。ボーキサイト、マンガン(世界9位)、金、ダイヤモンド(同9位)などを産出しています。
主要な輸出品は金(42.5%−92)、カカオ豆(23%)、木材(8%)、アルミニウム。また、ボルタ・ダムの余剰電力をトーゴなどに輸出しています。

80年代初め、政治的混乱、カカオの減産などで経済は危機的状況でしたが、83年、世界銀行とIMF(国際通貨基金)による構造調整策で持ち直しました。
95年、サハラ砂漠以南のアフリカの国々としては、南アフリカに次ぎ2番目に原子力発電が稼動し始めました。

日本との貿易では、輸出はカカオ豆が81.7%、いか10%が主で、輸入は自動車が約40%になっています。

モノがつなぐアフリカと日本
[チョコレートの話]

ガーナ

 

日本

カカオ豆は、赤道を中心にした南北緯度20度以内の熱帯地方に産します。
カカオ樹の実から取れる種子がカカオ豆。
カカオの実は長さ15〜20cm、直径15cmくらい。
その中にカカオ豆が30〜40粒入っている。
これを取り出し、発酵、乾燥させたものがチョコレートの原料になる。
選別されたカカオ豆をこんがりと焼き上げ、独特の香りと風味を引き出す。

実の部分を砕いてペースト状にする。

カカオマスに粉乳、砂糖、カカオバターを混合し、念入りに攪拌する。

キメ細かさを出すために、さらに5本のローラーで砕き、細かくする。

練り上げる。

それぞれのチョコレートの型に入れる。

カカオは、南米が原産地。
メキシコのアステカの王が好きだった飲物、チョコレートが、スペインに伝わり、そしてヨーロッパ中に人気が広がりました。
食べるチョコレートにする研究が始まり、1876年、スイスで板チョコレートが生まれました。
1879年に現在の赤道ギニアからガーナに、カカオが移植されました。
明治時代のはじめ、日本にチョコレートが輸入されています。

ガーナ国内ではオレンジやレモンの味をつけたれたチョコレートになることが多いとか。

資料提供 株式会社ロッテ広報室/『世界の動き 97年5月号』

ガーナの<この人>のプロフィール

1997年1月
初めて国際公務員から
国連事務総長に就任した
アナン・コフィー氏

生まれは?
学んだところは?
1938年、ガーナのクマシ生まれ。
クマシの科学技術大学で学んだ後、
アメリカ・ミネソタ州セントポールのマカレスター大学経済学部を卒業。
61〜62年、ジュネーブ国際高等大学大学院で経済学を専攻。
71〜72年、マサチューセッツ工科大学で経営学修士号を取得。
国連では
それまでどんな仕事を?

62年に国連に入ったときは、世界保健機関(WHO)の行財政担当官。
93〜97年、国連平和維持活動担当事務次長
(95年11月〜96年3月まで、旧ユーゴスラビア問題担当事務総長特別代表を務めた期間を除く)
管理・予算・財務・人事など管理業務のほか、
難民問題や平和維持問題にもかかわってきました。

他の仕事は? 74〜76年、国連から離れ、ガーナ観光振興会社常務取締役を務めました。
言葉は? 英語、フランス語と、いくつかのアフリカの言語に堪能です。
家族は? ナーネ夫人は法律家から画家。子どもが3人います。

参考資料 国際連合広報センター情報媒体資料(公式記録ではありません)97年1月10日

最近の動き

3月23日、クリントン米大統領はアフリカ訪問6か国の最初にガーナを訪問。

「アフリカへの理解や見方をゆがめている固定観念を、アメリカ人は忘れさるべきである。
わたしたちの地図に『新しいアフリカ』を描くときがきた」
と述べました。

「Ghana Focus」3月23日より

1ページの旅
賀曽利 隆 著『爆走! SAHARA』
講談社・1989年

ガーナ第2の都市クマシから、
昔の奴隷積み出し港として、アフリカ人の心の中にくらい歴史として残るエルミナへ行ってみた。

いまわしい過去をすっかり洗い流してしまったかのように、エルミナの海岸は底抜けに明るい。
浜辺にはココヤシが林立し、寄せては返すギニア湾の波の音が、なんとも耳に心地よい。・・・

エルミナから内陸に入り、ヤレヤという密林の村に、何日か、滞在させてもらった。
村は、アブラヤシの林に囲まれている。

  そのアブラヤシからは、村人たちの好物のヤシ酒がつくられる。
ヤシ酒づくりが、おもしろい。
・・・アブラヤシを一本倒し、黄味を帯びた、マーガリンを固めたような樹芯から、樹液をとるのだが、
ストローで樹液をポトポト、器に落とす仕組になっている。
熱帯雨林地帯の高温で多湿な気候が樹液を適度に自然発酵させ、
まる1日かけて器がいっぱいになるころには、甘味と酸味がほどよく調和したヤシ酒ができあがっている。
ビールよりも弱い酒で、度数が2、3度といったところであろうか。
より強い酒が欲しくなるのは、人間の自然な欲求のようで、
森の中の水場近くでは、蒸溜酒をつくっている。・・・
200リッターの醸造酒のヤシ酒から、20リッターほどつくられる蒸溜酒のヤシ酒は
アペテシと呼ばれているが、火をつければ、ボッと、青白い炎が燃えあがるほど強い酒だ。・・・

アペテシの肴(さかな)にと、アブラヤシの幹に巣食うアココノという、
カブト虫の幼虫をひとまわり大きくしたような虫を、串刺しにし、塩焼きにしてくれる。
見かけは悪いが、このアココノ虫、味は抜群。
口にふくむと、プチュとつぶれ、さっぱりとした脂分と、かすかな甘味が口の中に広がる。
それがまた、目まいがするほど強烈なアペテシに、よく合っている。・・・

密林の村、ヤレヤを歩いて気のつくことは、サバンナの村、ザンブグーとは違い、
村のどこを探しても、穀物倉がみあたらないことだ。・・・
  村人たちの主食になる作物は、キャッサバ、ヤムイモ、タロイモのイモ類と、
プランタイン(料理用バナナ)だが、これらイモ類には、これといった収穫期がない。
畑に行けば、いつでも収穫できる。いわば、畑が食糧庫といえる世界なのだ。・・・

それらの皮を包丁で削り取り、鍋でゆで、それを臼(うす)で搗(つ)いて餅にする。
その餅をフーフーと呼んでいる。
・・・できあがったフーフーを洗面器型をしたホウローの器に入れ、
別のホウローの器に、アベンクワインと呼ぶヤシ油で味つけした汁を入れる。
その中には、ゆでたタロイモの若葉を磨ってドロドロにしたものや、トウガラシ、タニシのようなアベビエという貝、沢ガニのコト、ドウモと呼ぶアブラヤシの幹につくキノコなどを入れる。
フーフーとアベンクワインの入った器をまん中におき、それを、男女の別なく、みんなで囲み、
フーフーを手づかみでちぎりとり、手の中でまるめ、汁につけて食べるのである。

著者の行動歴から
1968〜69年、アフリカ大陸一周−オートバイ スズキ(以下同じ)TC250/71〜72年、世界一周−TS250、GT380
77〜78年、16か国を子連れ旅(夫人も同行)/78年、日本一周−TS50/84〜85年、南米一周−DR250S
87〜88年、サハラ縦断−SX200R

アフリカの布の中で名高いケンテクロスは、かつてアシャンティ王国で王侯貴族のために織られた布でした。
100以上の伝統的な模様にはそれぞれ意味があるのですが、現在ではわからなくなったものもあります。

素材は木綿か絹。水平機により細幅で織ります。
縫いあわせて大きく仕立てた布を、まとったり服に仕立てるほか、細幅を飾りにしたりします。

ガーナの味

ガーナ料理店「ジ・ニャメ」のメニューから

○フーフー・・・料理用バナナまたはイモで作った団子
○バンク ・・・ とうもろこしとキャッサバを練り合わせいためる
○ケンケイ・・・とうもろこしの粉を練ってゆでる
○ヤムイモ

ビーンズシチュー(鶏または魚)や、パームナッツカレー(鶏または羊肉)などに組ませます。
ヤシから作った蒸留酒に薬草をつけた、ガーナのジンもあります。

フーフーなどにつけて食べる薬味の「シト」は、小エビや魚の粉、たまねぎ、トマト、いろいろな香辛料などを混ぜ合わせたもので、辛さとともにうまみがあります。

JR山の手線駒込駅東口(田端側出口)から歩いて3分ほど。
東京都北区中里1−3−10 電話 5814−2721

3つだけのアカン語レッスン

ようこそ アクワバー
どうぞ メパオチェウ
ありがとう メダワセ

サンプソン・オディ氏(ガーナ料理店「ジ・ニャメ」オーナー)に教えてもらいました

いろいろ情報

○アフリカについてのニュースが読めます。
http://www.africanews.org

○第1回「エチオピア」のこの欄でドラム教室を紹介したオランドゥ(オルランド)・ビングル氏はガーナの人です。
4月の教室は、12日(第2日曜日)、26日(第4日曜日)午後2時から4時の予定です。
連絡先− 電話/FAX 045−661−4762

○ホームページでビングル氏の音楽を聴くことができます。
http://www02b.so-net.or.jp/~naokon/taiko/taiko.html


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